ストレスチェック導入の背景
厚生労働省が昨年2015年12月にストレスチェック制度を施行し、義務化に至った背景には以下の4つがあります。
- 年間自殺者数の増加
- ストレスによる精神障害労災認定者の増加
- 労働安全衛生法の順守を高める
- メンタルヘルス対策の促進
日本の職場環境は非常にストレスフル
会社組織で仕事をしていると内部・外部から様々なストレスを受けます。
たとえば、仕事の内容が変わる、地方へ異動となる、取引先のクレーム対応、職場内の人間関係など、枚挙にいとまがありません。悪質なケースでは、セクハラ、パワハラによって、非常に強いストレスを受けることもあります。
また、人件費の削減により、1人当たりの仕事量が増加。
その結果、長時間労働をせざるをえない状態に追い込まれることも、職場でストレスが発生する原因の一つといえます。
働き盛り世代の死因の1位は自殺
上であげたことが原因のすべてではありませんが、日本における2013年の自殺者数は27,283人にものぼっています。
別の指標では働き盛り世代の死因の1位が自殺となっています。(警察庁「自殺統計」、厚生労働省「人口動態統計」より引用)
また、職場で端発したうつ病などが増加するにつれて、労災認定を求める件数と労災として認定される件数が年々増えています。
2015年に発表された厚生労働省の資料によると、2014年度の労災請求件数は1,456件、支給決定件数は497件と、過去最多件数となりました。
このような背景から、従業員のメンタルの不調を事前に緩和することを目的として制定されたのが、ストレスチェック制度になります。
ストレスチェック義務化において、企業が気をつける3つのポイントを簡単にまとめました。
- 1.労働者の心理的な負担の程度を把握するため、医師、保健師等による検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務付けた。ただし、従業員50人未満の事業場については当分の間、努力義務とする。
- 2.ストレスチェックを実施した場合には、事業者は、検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施する。
医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮、その他の適切な就業上の措置を講じなければならない。 - 3.事業者は、面接指導の結果に基づく医師の意見を衛生委員会もしくは、安全衛生委員会または、労働時間等設定改善委員会への報告等の適切な措置を講じなければならない。
上述の背景を理解をした上で、ストレスチェック導入の準備をしていきましょう。
次に準備しておくことを解説していきます。
厚生労働省が発行している「ストレスチェック制度導入マニュアル」に目を通してみてください。
ストレスチェックの導入はとにかく大変なことを確認できることでしょう。内容をまとめると以下のようになります。
導入マニュアルまとめ
- 会社から「メンタルヘルス不調の未然防止のためにストレスチェック制度を実施する」旨の方針を明示する
- 会社で衛生委員会などを設立しストレスチェック制度の実施方法を話し合う
- 決定事項を社内規程に盛り込み明文化する
- その内容を全従業員に開示告知し内容を知らせ理解に努め、同意を得る
- ストレスチェック実施体制・役割分担を決定する
話し合う必要がある事項
- 1.ストレスチェックは誰に実施させるのか
- 2.ストレスチェックはいつ実施するのか
- 3.どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか
- 4.どんな方法でストレスの高い人を選ぶのか
- 5.面接指導の申出は誰にすれば良いのか
- 6.面接指導はどの医師に依頼して実施するのか
- 7.集団分析はどんな方法で行うのか
- 8.ストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのか
実施体制の例
制度全体の担当者 | 事業所において、ストレスチェック制度の計画づくりや進捗状況を把握・管理する者。 |
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ストレスチェックの実施者 | ストレスチェックを実施する者。医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士の中から選ぶ必要があります。外部委託も可能です。 |
ストレスチェックの実施事務従事者 | 実施者の補助をする者。質問票の回収、データ入力、結果送付など、個人情報を取り扱う業務を担当します。外部委託も可能です。 |
面接指導を担当する医師 | 日頃から現場に関わりのある「産業医」の方が望ましいとされています。 |
導入の準備も含めたスケジュールはどれぐらいの期間を目安とすればよいのでしょうか。1つのスケジュール案をご紹介します。
5ヶ月~3ヶ月前 | 安全衛生委員会での審議 |
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2ヶ月前 | 受験対象者への周知 |
1ヶ月前 | 対象者選定・登録 |
- ストレスチェックの義務化は、年間自殺者数ならびにストレスによる精神障害労災認定者の増加、国が定める労働安全衛生法の順守ならびに総合的なメンタルヘルス対策の促進が背景となっている。
- 義務化の背景を正しく理解し、ストレスチェック導入の準備を行うこと。
- ストレスチェック導入の準備・実施は社内だけでは専門外のため大変工数が掛る。先ずは専門業者へ相談してみることをお勧めする。
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