そもそもどうして?ストレスによる吐き気のメカニズム
食べ過ぎ・飲み過ぎ、乗り物酔い、煙草の吸い過ぎ、妊娠などなど、吐き気の原因は様々です。しかも、一つの原因に絞れないこともあります。でも、心因性、すなわちストレスが、吐き気の重要な原因の一つになっていることは間違いありません。では、ストレスはどのようにして身体に吐き気を起こさせるのでしょうか?
ストレスが嘔吐中枢を刺激することで吐き気を起こさせる
そもそも吐き気や、その結果である嘔吐が起こるとき、消化器系の中では、通常ならば開いている腸への出口が閉ざされ、反対に食堂への出口が広がります。加えて、消化器付近の筋肉や横隔膜が動くことで、いつもなら口から食道、胃腸へという流れが、逆流してしまう、これが、吐き気や嘔吐です。
このような、胃腸や身体の中の筋肉を自分の意志とは関わりなく動かす働きをしているのが自律神経系であり、その中でも嘔吐に関わるのが脳幹内にある嘔吐中枢です。ストレスは、複数のルートで嘔吐中枢を刺激し、吐き気や嘔吐をもたらします。
一つのルートは、胃腸経由です。胃潰瘍などで胃や腸が荒れている状態では、胃酸等で胃腸が刺激されやすくなっており、ストレスで胃酸の分泌が増えると、それが異物として認識されることから、嘔吐中枢が刺激されます。
もう一つが、大脳経由です。緊張や不安など、ストレスとなる刺激を大脳が感じ取ると、嘔吐中枢が刺激され、吐き気が起こります。大舞台での緊張による吐き気は、大脳によるものと考えられます。
このように、ストレスは、吐き気の大きな原因となっているのです。
どうすれば止まる?ストレスによる急な吐き気の対策は
例えば、二日酔いや食あたりなど、ストレス以外が原因なのであれば、無理に薬などで吐き気を抑えるより、吐けるだけ吐いた方が身体への悪い影響も少ないかもしれません。
しかし、ストレスが原因の吐き気は、吐く内容物の有無に関係なく襲い掛かってきます。このような吐き気に対しては、一時的にでも、いかにストレスを感じなくすることができるか、言い換えればいかにリラックスできるかにかかっていると言ってよいでしょう。そこで、ストレスによる急な吐き気の対策をまとめてみました。
対策1:深呼吸をする
吐き気だけでなく、ストレスを感じているとき、呼吸は浅くなりがちで、過呼吸に近い状態となっています。浅い呼吸では脳内に十分な酸素が行き渡らず、判断力も落ちてしまいます。ゆっくり深呼吸をすることで、心と体を落ち着けましょう。深呼吸と一緒に目を閉じると、外からの刺激が入ってこないのでより効果的です。
対策2:横になる
立っている状態は、すでに身体にストレスがかかっています。吐き気が辛いときには、椅子に座ったり、できれば横になったりするなど、身体にかかっているストレスを少しでも軽減させるような姿勢をとりましょう。横になる際は、胃の内容物が腸に流れやすくなるよう、右を下にして寝る方が効果的です。また、衣服などを緩め、少しでも楽な姿勢を取ることも大切です。
対策3:ミントを摂取する
清涼感あるミントの味と香りは、胃の中のムカムカや、吐き気を抑える効果があるとされています。ストレスによる吐き気に悩む人は、コンビニなどで手に入るミント系のガムやタブレットを常にバッグに忍ばせておき、いつでも口に入れられるようにしておくとよいでしょう。
対策4:身体のツボを刺激する
東洋医学の観点では、手や足などに様々なツボがあり、内臓の働きと対応があるとされています。消化器や自律神経と関係が深いツボとして、手首の内側にある「内関」(ないかん)というツボがあり、そこを刺激すると、吐き気などに効き目があるとされています。
対処療法では限界も。吐き気が続くようならば・・・
ストレスは吐き気の原因の一つですが、症状が定期的に続くようなら、ストレスと合わせて他の病気も疑ったほうがよいかもしれません。
吐き気を伴う症状が起きる病気として、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎といった、ストレスとも関係が深い消化器の病気の他に、脳出血など、消化器以外の病気が原因である場合もあります。
それらの診断の決め手として、吐き気の他にどのような症状があるかを確認するようにし、早め早めに専門医に相談するようにしましょう!
まとめ
- 吐き気の主な原因の一つとしてストレスがあります。ストレスは、胃腸や大脳を刺激することで、脳幹にある嘔吐中枢を刺激し、吐き気が起こります。
- ストレスからくる急な吐き気の対策は、いかに早くリラックスする環境を作るかということ。呼吸や姿勢など、身体を楽にすることが大切です。
- 吐き気の症状が続く場合は、ストレス以外の病気の要因も考えられます。吐き気以外の症状を含め、早めに専門医に相談しましょう。