最近、情緒不安定で泣く事が多いと感じたら、それはうつ病の前兆かもしれません。
涙もろいのはうつ病の初期症状
精神疾患の患者は年々増えつつあります。そのうち、約3分の1の人がうつ病などを含む「気分障害」(感情障害)と呼ばれる病気にかかっています。うつ病とは、過剰な悲しみや喜び、またはその両方が長時間に渡って起こり、日常生活や社会生活に支障をきたしてしまう症状です。
うつ病症状
- 不眠
- 自殺願望
- 自分を責めるような罪悪感
- 気分が落ち込む
- 悲壮感
- 涙もろい
最近泣きたい気分になる事が増えたり、簡単に泣いてしまったりという人は、ひょっとするとうつ病になっている、あるいはうつ病の初期症状かもしれません。
/stress_tolerance/
ネガティブ思考と涙の関係
うつ病でなくとも、泣きたくなるようなシチュエーションに遭遇すれば、涙が流れてしまうということは誰にでもありますよね。
あまりにも嬉しい時や悲しい時、感情の起伏によって出てくる涙は、「情動性分泌」と呼ばれ、脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)という部分が刺激を受ける事で発生します。
この脳の前頭前野全体は感情をコントロールする事に加え、
- 意欲
- 作業記憶、学習機能
- 判断力、決断力
- 計画、段取り
- 推測
などの機能も司っています。うつ病傾向のある人ほど、ネガティブな思考と前頭前野の活動に深い関連性がある事がわかっています。
つまり、うつ病の症状である涙には、ネガティブな思考による脳の働きが大きく影響していると考えられるのです。ネガティブな思考が察知され、それが繰り返し起こる事により、うつ病が定着したり悪化したりする恐れがあると言われています。
うつ病は早期に発見できれば症状も軽くて済み、治療期間も短くて済むでしょう。もしも泣きたい、涙が出るといった症状が2週間以上続いたら、迷わず心療内科を受診してください。
/work_and_stress_depression/
うつ病の初期症状一覧
うつ病の初期症状を見逃してしまうと対処も遅れてしまい、手遅れになってしまう可能性があります。ここでうつ病の初期症状を整理してみましょう。心当たりある人は要注意です。
思考能力が落ちる
物事に対して深く考える事ができなくなります。今までは慎重に考えて計画的に行動できていたのが、思考力が落ちると自分の考えをうまくまとめられなくなってきます。そのため、場当たりな行動をする事もあり、その結果仕事に支障が出てしまい、効率が悪くなる事もあります。
やる気が出ない
今までは休日に気分転換したり、好きな事をしたりして過ごしていたのが、何もする気にならなくなり、無気力になってしまいます。好きな事に限らず仕事面でも無気力になってしまい、自分から積極的に行動する事ができなくなります。家に引きこもりがちになり、仕事へも行けなくなります。
集中力がなくなる
一つの作業に集中するのが難しくなります。今まで普通にこなせていた作業ができなくなり、短時間でも集中力が続かず、時間がかかってしまいます。仕事上でもミスが増え、落ち込むが事が増え、それが悪循環になっていきます。
気分がスッキリしない
何かいい事や面白い事があっても、心から笑う事ができなくなります。何をやってもスッキリせず、爽快感がありません。いつも落ち込んだ気分になってしまいます。これが進行すると、やがて笑顔が全くなくなり「死にたい」と感じるようにまでなってしまいます。
朝なかなか起きられない
夜に熟睡できていないせいもあり、朝、起きるのが異常なほどつらくなります。誰でも朝は少しでも長く眠っていたいものですが、うつ病になると特に朝、起き上がるのが困難になり、ひどいと昼まで寝ているようになってしまいます。
自己嫌悪が激しくなる
自分の些細なミスにもこだわり、後悔をひきずり、自分を責め続けます。なぜこんな簡単な事なのにできないのか!などと自問自答する事も増え、しまいには自分という人間には価値がないと思い始め、身体を傷つけたり、自殺願望を抱いたりするようになります。
うまく話せない
思考力が低下するのが原因で、うまく言葉が出てこなくなります。そのため、自然と口数が減ってしまい、今まで普通に会話できていた事も困難になり、無口になっていきます。これも、気分がスッキリしなかったり、自己嫌悪になったりする要因です。
些細な事でイライラする
ちょっとした事でもイライラするようになってしまいます。普段なら何もない事でも、いつまでも引きずってイライラが止まりません。その結果、自分で怒りの感情を抑える事が難しくなり、トラブルを起こしやすくなります。
下痢が多くなる
これは自律神経の乱れが原因です。
頭部に湿疹ができる
ストレス性の円形脱毛症になる事もあります。
なぜ涙が出てくるのか
人は感動した時や喜んだ時も涙を流しますが、その背景には、自分では制御しきれない程の感情やストレスを刺激また有害物質として受け取り、それを身体から排除(解放)していると考えられます。
うつ病が進行しすぎるとこんな症状が
うつ病が悪化すると、死について考える時間が増えてしまいます。精神的症状が悪化してしまうと、ちょっとした失敗でも「私がいたから失敗した」と考えたり、「私さえいなければこんな結果にならなかった」と悲観的に考え過ぎたり、自分を責めたりしてしまいます。
そしてその考えが進行してしまうと、「私がこの世にいるから何もかも悪くなる」、「どうせなら死んで消えてしまいたい」という考えにまで達してしまいます。
うつ病の傾向が見られたら、早い段階でカウンセリングに頼ってみてくださいね。
身体面での症状
うつ病は、精神面ばかりに症状が現れるわけではなく、身体面にも症状が現れます。うつ病には身体面での症状もあります。
- しびれが出る
- 疲れやすい
- 食事がおいしくない
- 食後すぐに嘔吐してしまう
- 食べられない
- 外出できない
- 一睡もできない
- 急激な動悸に悩まされる
などが症状の例です。
症状が進行してくると、活動が制限され。急激な動悸がしてくるようになります。実は一番厄介な症状が「動悸」です。動機が激しくなってくると、身体のコントロールがきかず、その場で倒れてしまう事もあるので、非常に危険です。
まとめ
- 最近泣きたい気分が多い、わけもなく泣いてしまうことが多いのはうつの初期症状かもしれません
- 初期症状には「思考能力の低下」などいくつかありますので該当している項目がないかチェックしてみてください
- うつ病に限らず身体の異変サインに日頃から気づくようにし、忙しさにかまけてなおざりにせず対処するように心がけてください