そもそもなぜ?ストレスが咳を起こすメカニズム
咳とは、肺への空気の通り道である気道に痰などの分泌物が溜まったり、ホコリやゴミなどの異物が入ったりしたときに、それらの分泌物や異物を身体の外に出そうとする働きのことです。
気道の表面の粘膜にあるセンサーが分泌物や異物を感知すると、その刺激が脳に届きます。脳は、横隔膜や肋間膜などの呼吸をつかさどる筋肉を動かす指令を出して、咳がでるわけです。
その理由は、自律神経の働きにあるのです!
このように、咳自体は、正常な呼吸を保つために不可欠な身体の働きです。
気道に分泌物や異物があるときは、咳が出なくてはむしろ困るわけですが、ストレスを感じると、必ずしもそうではないときにも咳が出たり、咳の症状が続いたりしてしまいます。
ストレスを強く感じると、まず活発になるのが交感神経。
交感神経が活発になると、血管や気道が広がり、脈拍が早くなります。
この働きを抑えるのが副交感神経であり、通常は、その働きによって身体は正常な働きを取り戻します。
しかし、ストレスをずーっと感じ続けている状態では、自律神経、つまり交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れ、副交感神経が優位になり過ぎてしまうことがあります。
その場合、気道は平常よりも収縮して狭くなってしまい、平常ならば問題ない分泌物や異物にも反応し、咳の症状がでてしまうのです!
ストレス以外の病気の危険も!長引く咳の症状の傾向と対策
慢性的な咳の症状は、ストレス以外にも考えられます。
最も多いのが、アレルギーを原因とするものです。
喘息・咳喘息の多くに加え、アトピー性咳嗽などがそれにあたります。
また、感染症が原因となっている咳もあります。
代表的なものとして、結核や、百日咳、肺炎などがあります。
さらに、タバコを習慣的に吸う人は、常に気道に炎症を抱えている状態に近いことから、咳の症状が出やすくなり、肺がんのリスクも高まります。
これらの要因は、それぞれ治療方法が異なります。
アレルギーであれば、吸入ステロイド薬や、気管支拡張薬が処方されることが多いようです。
また、各種感染症には各種抗菌薬が有効と考えられています。
肺がんであれば、放射線治療や抗がん剤、手術が必要とされるでしょう。
いずれにせよ、咳が長引く場合には、単なる風邪ではなく、専門的な治療を必要とする疾患にかかっていることが少なくありません。
長期間続く咳の症状にお悩みなら、ストレスだからと放置するのではなく、呼吸器の専門医の診察を受けた方がよいでしょう。
もちろん、ストレスからくる咳の対策として、適度な運動と睡眠、栄養バランスのとれた食事は大切です。
専門医への受診を機に、自分の生活習慣も併せて見直してみるとよいでしょう。
今すぐ止めたい!咳の対策あれこれ
専門医にかかる前に、とりあえず今の咳の症状を急いで止めたい!
そんな方のために、咳に効く対策をいくつかまとめてみました。
対策1:水分を取る
気道の乾燥は咳の大敵です。水分、それも冷たかったり熱かったりするものではなく、常温ないしは温めの飲み物がよいでしょう。
温度だけでなく、ハチミツやしょうがなど、のどによいものを入れて飲むとさらに効果的です。
対策2:鼻呼吸を意識する
口で呼吸をすると、どうしてものどに異物が侵入しがちです。
鼻で呼吸することで、異物がのどに届く前に鼻腔内で抑えられるので、気道への刺激を少なくすることができます。
咳がでやすいときは、口ではなく鼻で呼吸するようにしましょう。
対策3:マスクをつける
マスクをつけることは、気道に異物が入りにくくなるとともに、口や鼻からの水分の蒸発を抑え、気道を乾燥させない効果もあります。
咳が出やすいときには、マスクを常備しておくと良いでしょう。
まとめ
- 咳は、気道の分泌物や異物を排出するために必要な身体の機能ですが、ストレスを受け続けていると、自律神経の働きのバランスが崩れ、平常では問題ないときにも咳が出ることがあります。
- 長引く咳の症状には、ストレスだけではなく、アレルギーや感染症など、様々な原因が考えられます。生活習慣の見直しをはじめとしたストレス対策を取りつつ、症状を放置せず、専門医に相談しましょう。
- 咳の対策には、気道を乾燥させないことと、気道に異物を入れないことが大切です。水分補給や鼻呼吸を意識し、マスクをつけるようにしましょう。