実は様々。頭痛の原因について
「頭痛」とは、読んで字のごとく頭の痛み。でも実は、頭蓋骨や脳そのものは痛みを感じません。様々なきっかけで、頭の中の血管や骨膜、神経などが炎症を起こしたり、圧迫されたりすることで、痛みを感じるのです。
そんな頭痛の原因としては、様々な他の病気の症状から頭痛になる場合、特定の薬剤や食品を摂取するとなる頭痛、そして緊張性頭痛などがあるとされています。
原因1:様々な病気の症状としての頭痛
脳出血、くも膜下出血などの場合:発作のような激しい頭痛が急に来る
脳の中を走っている血管から出血する脳出血や、脳の表面の血管から出血して脳とくも膜との間の隙間に血液が入るくも膜下出血。どちらも恐ろしい病気ですよね?これら脳周辺の出血があった場合、頭蓋骨の中の神経などが血液で圧迫されるため、発作のような激しい頭痛が急速に起こります。
風邪やインフルエンザの場合:発熱を併発する頭痛
頭痛というと風邪をイメージしがちですが、実は風邪自体が直接頭痛を引き起こすことはありません。
風邪やインフルエンザの場合、身体の中に入ったウイルスを追い出そうと、白血球の数が増えると同時に、白血球を運ぶ血液の流れを活発化しようと、血管が膨張します。それが周囲の神経を刺激するため、頭痛が起こると考えられています。この場合、体内でのウイルスの増殖を防ぐため、発熱を伴うことがほとんどです。
その他の病気
副鼻腔炎(いわゆる、蓄膿症)は、鼻の奥の鼻腔がウイルス等に感染し、炎症を起こしたものです。この場合、頭痛に加えて、鼻水や鼻づまり、嗅覚障害などの症状が出ます。また、脳と脊髄を覆う膜である髄膜の炎症である髄膜炎は、頭痛に加え、発熱や頂部硬直(うなじが固くなって動かなくなる)などの症状が出るとされています。
原因2:特定の薬剤、食品を原因とする頭痛
一定の薬剤の過剰摂取は、薬物乱用頭痛(MOH)を引き起こすとされています。具体的には、トリプタン、エルゴタミンなどです。これらは、鎮痛剤や頭痛薬などにも用いられ、適切な用法・容量である分は問題ありません。
しかし、頭痛などの症状を恐れるあまり、過剰摂取することで、治療薬自体が頭痛を起こすことになるのです!なお、学会の診断基準によれば、単一成分の鎮痛薬は月に15日以上、その他の頭痛薬は10日以上の使用が3ヶ月以上続くと、乱用状態と判断されるそうです。市販薬は概ね複数の成分から作られるので、月10日以上飲んでいる人は要注意かもしれません。
また、食べ物についても、頭痛の原因となりうるものがあります。それらの特徴として共通するのは、血管を急に拡張させたり、縮小させたりする効果があることです。血管の拡張はもちろん、急な収縮も、その反動としての拡張によって頭痛をもたらします。
血管を拡張させる食品としては、例えばアルコールがその代表です。一方、血管を収縮させる食品は、チーズ、チョコレート、うまみ調味料などがあるとされています。
もちろん、食べ過ぎなければほとんど問題になりませんが、頭痛が続き悩んでいる場合には、このような血管の急な拡張や縮小をもたらす食品を控えてみてもよいでしょう。
原因3:その他の頭痛の原因
その他頭痛の原因となりうるのは、女性の生理や、身体の姿勢、低気圧などがあるとされています。生理に伴う頭痛は、生理の周期によってエストロゲン(卵胞ホルモン)が急減することによって、やはり脳内の血管が膨張することが主な原因です。
さらに、悪い姿勢を長時間続けていると、首から頭にかけての血行が悪くなってしまい、筋肉に乳酸などの疲労物質がたまって神経を刺激することで、頭痛が起こるというケースもあります。また、血管を膨張させることから、低気圧も頭痛の一因となり得ます。
これらは、比較的原因の分かりやすい頭痛ですが、必ずしも具体的な原因を特定できない頭痛もあります。そんな場合は、ストレスが大きく影響している可能性があるのです!そこで次に、ストレスと関係の深い、緊張性頭痛についてみてみましょう。
ストレスに関係が深い?緊張型頭痛の症状について
頭が締め付けられるような痛みが毎日続く、でも、耐えられないほどではないのでそのままにしている・・・そんな慢性的な頭痛の多くは、緊張型頭痛と言われています。
緊張型頭痛では、頭痛の他、身体のだるさ、首や肩の「こり」「はり」、目の疲れ、めまいなどの症状が並行して起こることがあります。
しかも、この緊張型頭痛、ストレスが原因とされるケースが少なくありません。ちなみに、緊張型頭痛を引き起こすストレスには、身体的なものも、精神的なものも含まれます。
身体的なストレスの例としては、長時間にわたるデスクワークや車の運転、無理な姿勢での作業など、主に姿勢の歪みが続くこと。一方の精神的なストレスは、仕事のプレッシャーや家庭内の不和など、ココロで感じるストレスです。
緊張型頭痛の治療には、通常、鎮痛剤として、アスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェンといった非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方されます。
もっとも、これらの鎮痛剤は、一時的な症状には効きますが、慢性化した症状には効きにくいとされています。加えて、鎮痛剤の服用が増えすぎると、消化器の粘膜を弱め、胃痛の原因になるので、注意が必要です。
その他、薬物治療としては、精神的なストレスを抑えるための抗うつ剤や抗不安薬が用いられたり、「こり」や「はり」を抑えるものとして筋弛緩剤が用いられたりすることもあります。
ただ、これらの薬物も、やはり症状を抑える応急処置的なものであり、より根本的な治療としては、やはりストレスの解消が何よりと考えられています。
カギはセロトニン!?ストレスからくる頭痛のメカニズム
緊張型頭痛をはじめ、なぜ、ストレスを感じると頭痛が起こるのでしょうか?そのカギを握っているのが、セロトニンという神経伝達物質です。カラダやココロがストレスを受けると、それに対処するため、アドレナリンなどの様々な化学物質が体内で作られ、分泌されます。
セロトニンは、それらの物質が体内で適切に働くよう、バランスを取るために分泌される物質で、どちらかというとブレーキ役と考えられています。
セロトニンは、気持ちを落ち着かせたり、睡眠の質を向上させたりする効果があるとされていますが、より具体的には、血管を収縮させる働きがあります。ストレスを強く感じて対応する化学物質が分泌されると、そのバランスをとるために多くのセロトニンが分泌されます。
それによって血管が急に収縮することに。しかし、セロトニンの体内分泌量は限られていることから、その効果が切れるときがやって来ます。そのとき、収縮していた血管が膨張して周囲の神経や筋肉などを刺激するため、頭痛が起こるのです。
セロトニンの他、三叉神経が原因と考える説もあります。ストレスによって脳神経の中でも大きい三叉神経(顔面周辺の感覚を司る神経)が刺激を受け、そこから分泌された神経伝達物質により、血管が拡張したり、炎症が起こったりすることがあり、それらが頭痛につながるという考え方です。
いずれにせよ、ストレスを感じることで、カラダの中で化学物質が分泌されて血管を拡張させ、頭痛を引き起こすというのが、ストレスからくる頭痛の主なメカニズムと言えるでしょう。
ストレス解消+αで、辛い頭痛への対策を
辛い頭痛の症状は、少しでもラクにしたいところ。そのためには、症状を抑えることと、頭痛を予防するために、強いココロとカラダを作ることが大切です。以下、それぞれの主な対策をまとめました。
頭痛の症状を抑える方法
頭を冷やす | 子どものころ、熱が出たり頭が痛かったりすると、濡れタオルや氷嚢を頭に乗せましたよね?これは、拡張している頭の血管を冷やすことで収縮させ、痛みを和らげるためです。古典的ですが、分かりやすく、効果的です。 |
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薬を服用する | 市販の鎮痛薬や解熱薬でも、症状を抑えることができます。鎮痛剤は、脳内の痛みの感じ方を和らげる成分が含まれており、痛みが楽になります。ポイントとしては、痛みがひどくなる前に飲むことと、風邪薬と併用するときは医師に相談することです。 |
頭痛を予防する方法
こまめにストレスを解消する | 過度のストレスは頭痛にとって大敵。特に、緊張性頭痛は対処療法よりも予防が大切です。規則正しい生活に加え、自分にとってリラックスできる方法をいくつか見つけておくことが大切です。特に適度な運動や入浴(できればぬるめのお湯で!)などは、筋肉の緊張をほぐし、血行を整えるのでおススメです。 |
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意識して水分を取る | 身体の水分が不足すると、血行が悪くなり、頭痛になりやすくなります。特に乾燥しがちな時期は、意識して水分をとるようにしましょう。 |
まとめ
- 頭痛と言っても、細菌やウイルスからくるものや生理周期を原因とするものなど様々であり、ストレスもその原因の一つとなっています。
- ストレスが頭痛を起こす主なメカニズムとしては、血管を収縮させるセロトニンの効果が急激に切れることで逆に血管が膨張するためと考えられています。
- 頭痛には、症状への対処療法と予防が重要です。こまめにストレスを解消することで頭痛に強いカラダを作りましょう。